紅葉したロゼットの真ん中に花開いていました

紅葉したロゼットに咲く花
とても1月下旬とは思えない暖かさに誘われて1月26日、27日の荒川堤防にはアチコチにタンポポやオオイヌノフグリ、そしてハコベやナズナも咲いていました。
寒さのために紅葉して見事に広がったロゼットの真ん中に殆ど張り付いたように花開いているタンポポがありました。
他のタンポポも極力花茎を短くして花をつけていました。見た限りではエゾタンポポかカントウタンポポのよう でした。
暖かい陽光を浴びていっぱいに開いた紅葉したロゼットの中心に咲いていましたが、寒風にさらされても耐えられるように花茎は殆どありませんでした。

セイヨウタンポポが圧倒的に優勢のようですが

セイヨウタンポポ
タンポポは外来種のセイヨウタンポポが優勢で在来種のカントウタンポポ、エゾタンポポ、トウカイタンポポ等は劣勢と言われます。大きな要因はセイヨウタンポポが受粉しなくても種子を作り、繁殖できる事にあるようです。
タンポポはキク科の植物で、小さな舌状花が一つひとつの花でその集まりを頭花とよびます。そしてその下に ついているのが総苞で、この形状ででそれぞれの種を見分けます。 セイヨウタンポポは外側の総苞片が反り返る事で明瞭です。(右の写真の上の閉じている花の総苞参照)
在来種タンポポは外側の総苞片の長さや形状で区別します。ところが、これらの在来種の判別材料の総苞片の形が中間的な曖昧なものが多くなっていて、区別し難くなっている現状のようです。
エゾタンポポ エゾタンポポ
総苞を見ると左はエゾタンポポで右はカントウタンポポのように見えますが、かなり微妙なものがあります。
両方とも07年1月26日羽倉橋寄りの荒川堤防にて
ハコベ ナズナ
タンポポの花につられて見つけました。ハコベもナズナも目立たないながらこの近くに結構咲いているのが見られました。
07年1月27日荒川総合運動公園より治水橋寄りの堤防にて

タンポポは総てセイヨウタンポポの雑種になってしまうのでしょうか

ところが、「セイヨウタンポポの花粉が在来タンポポにつくと交配して雑種の種子を作り、雑種は再びクローンの種子を作り増殖していく。」(雑草の成功戦略)といわれ、「最近私たちが国営昭和記念公園で行なった調査によると、公園内のセイヨウタンポポと考えられていたものの99%は、セイヨウタンポポとニホンタンポポとの雑種である事が判明した。」(雑草生態学)との報告もあります。
こうなるとタンポポは総て雑種で、大きくセイヨウタンポポの雑種とニホンタンポポの雑種になり、将来的には総てセイヨウタンポポの雑種になると考えられますが、心情的にはそう単純ではない事を願います。

タンポポの名前の由来には2説があります

タンポ槍の由来
タンポポの名の由来については「花が終わって実ができる頃見られる冠毛の玉の様なものがタンポ槍の丸い穂先に似ているから」というのが牧野富太郎説で、「タンポポの古名のタナが転じてタンになり、ホホは花が種になってホホける事から」との大槻文彦説があるようです。 尚、冠毛は萼の変化したものといわれます。


写真はセイヨウタンポポの冠毛です。総苞が見事に反り返っています。
まさに2本のタンポ槍という気がしますが、上の冠毛のすぐ脇に1本の胞子が風に乗って飛び立とうとしています。
平成19年1月27日作成