<ノカンゾウ(野萱草)>

ユリ科(APGUでススキノ科に分離APGWでツルボラン科)ワスレグサ属

学名(属名+種小名)Hemerocallis longituba

属名Hemerocallisはhemera(一日)+callos(美)一日の美しさの意。この属の植物は一日でしぼむため。
longitubaは長い筒の意で花筒がヤブカンゾウなどより長い為。Hemerocallis fulva var.longitubaとホンカゾウの変種にする説もある(fulva=黄褐色の)。
ノカンゾウ 野萱草
撮影:左は09年6月28日田島ケ原サクラソウ自生地、右は12年6月15日さいたま市桜区の荒川河川敷にて
※上の写真はクリックすると大きくなります
根元に集まり、幅は約1.5pで細く主脈は凹む 根・茎 根は所々膨れ、花茎は葉の間から伸び出す
藪萱草より小さく花径約7p、花筒は細く長い 果 実 花粉は粒が揃っているが結実は少ないという
高さ 50〜70p 花 期 7月〜8月
生育地 野原や空地などの湿った所 分 布 本州、四国、九州、沖縄
別 名 ワスレグサ、ベニカンゾウ 花言葉 割り切りの早い(一日花)
渡 来 在来種 近似種 ヤブカンゾウ、ハマカンゾウ

和   名 和名は中国のホンカンゾウに似て野にあるからという。
萱草は中国では別名忘憂草といわれこの植物を着物の紐に結んでおくと 悲しみや辛い事を忘れられという。それでワスレグサともいい、古代に中国から帰化したと言われるヤブカンゾウの別名をワスレグサ、 そして同じ属のノカンゾウにも汎用しているようだ。
雑   記 属名のHemerocallisは「一日の美しさ」という意味でこの属の花が一日花を表している。園芸種のヘメロカリスは属名を日本語読 みしたものだ。
花の色は黄赤色から橙赤色そしてかなり赤みの強いものもあり ベニカンゾウの別名がある。
ヤブカンゾウは3倍体なので結実しないが、11年7月26日に荒川河川敷で 刮ハを見つけ、ノカンゾウは稔性(生殖力)がある事を知った。この日はこの他にもツバメシジミの交尾や、メドハギへの キタキチョウの産卵も撮れてラッキーな一日だった。
APG IIでユリ科からススキノ科に分離され、APG IIIでは旧ツルボラン科と旧キスゲ科が含められ、ススキノキ科(Xanthorrhoeaceae)とされていたが、APGW(2016年)でツルボラン科 (Asphodelaceae) に改められた。(三河の植物観察より)

08年6月26日作成・13年9月8日改訂・2023年6月23日改訂

観察ノート

ノカンゾウ ノカンゾウ
田島ケ原サクラソウ自生地での芽生え 12年2月19日 後ろの赤いノウルシより成長が早いようです 12年2月27日
ノカンゾウ ノカンゾウ
ノウルシも伸びて赤と緑の競演です 12年3月6日 サクラソウよりだいぶ大きくなりました 12年3月20日
ノカンゾウの刮ハ ノカンゾウの種子
ノカンゾウの枯れた刮ハは裂開していました。右は刮ハを取って種子を撮影 2013年9月7日原野にて