<ヤブガラシ藪枯>

ブドウ科ヤブガラシ属

学名(属名+種小名)Cayratia japonica

属名のCayratiaはベトナムでの呼び名を学名の形にしたもの(野草図鑑)。種小名は日本の意味
ヤブガラシ 藪枯
撮影:左は08年6月27日桜区道場5丁目、右は03年10月7日国会前庭にて
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互生し柄は長く5〜7枚の小葉の鳥足状複葉 根・茎 茎は稜があり巻きひげで絡み付いて伸びる
平らな集散花序に緑色の小花を多数 果 実 結実は稀。球形の液果は径1p、黒く熟す
高さ つる性でよく伸びる 花 期 7月〜9月
生育地 荒地やフェンス、草薮に群生する多年草 分 布 日本全土
別 名 ビンボウカズラ 花言葉 積極性のある(あらゆるもの絡みつく)
渡 来在来種近似種

和   名 ヤブガラシ(藪枯)は文字通り藪をも枯らしてしまう程覆い尽くしてしまう繁殖力旺盛な事から。
別名の ビンボウカズラ(貧乏葛)は荒れた庭に生えるからとも、山林を枯らして家を貧乏にするからともいわれる。
漢名は「烏歛苺(ウレンボ)」で、利尿・解毒・鎮痛などに薬効のある生薬として利用されるという。「ハチやムカデ の咬傷には茎葉の生汁をつけるとよい」(牧野和漢薬草大図鑑)とあり、蚊に刺された痒み止めにも効用があるようだ。
雑   記 朝方に5o程の花を開き4枚の花弁と4本の雄しべは 昼ごろには散り落ちてしまう。花盤の色もオレンジから次第にピンクに変わり、雌しべのみが真中に突き出ている。 蜜の分泌は多いが、量は11時と15時に明確なピークを示し、夕方や早朝には少ないという。訪れる虫 はハエ、ハナアブ、蟻等多彩だが、アオスジアゲハが この花をよく訪れるようだ。
晩春から初夏に長く横に伸びた地下茎の所々から芽を出し急速に生長する。 地下茎によって繁殖するので一度庭などに生えると根絶するのは困難な多年草で、農薬による他ないようだ。根際 から抜いても決して根はついてこないのは感心するほどだ。
結実するのは西日本を中心に分布する2倍体の ヤブガラシで、より広い範囲に見られるのは3倍体で結実しないという。
若芽は食用になり、茹でて水にさらしあく抜きして和え物などにできるという。

2014年7月21日再改訂

観察ノート

観察ポイント

  1. 花はオレンジ色の花盤の周りに4本の雄しべが立ち、緑の花弁がついているが、午前中で散り落ちる。
  2. 新芽は茎や葉が暗褐色を帯びるが、食用になる。比較的遅く芽生えて急速に生長する。
  3. 葉は手の平状複葉に見えるが、よく見るとまず3小葉または5小葉に分かれ、 下の2小葉からそれぞれ小葉が出ている鳥足状複葉 でアマチャヅルが同じ。特異な葉の付き方なのでアマチャヅルに朝鮮人参の成分が含まれると言われブームになった時には ヤブガラシを混ぜる悪徳商法が横行したこともあり、トラックいっぱいにヤブガラシを採って得意満面だったという 笑い話もある。
ヤブガラシ 藪枯
左と右下の花は雄しべと花弁があり、真中のピンクは雌しべのみ 右の花は雄しべも花弁も1つづつしか残っていません