オモダカ(面高)の花を見つけたのが始めでした

オモダカ(面高)
05年7月にプラザウェスト前の田んぼで見つけたのは田の雑草としてはポピュラーなオモダカだった。その葉のつき方、形、大きさそして花の清楚さは特異でお百姓さんにもそう嫌われてはいないようだ。この時は雄花、雌花とも両方とも見られたが、夕方にもう一度見て帰ろうとしたら花は閉じてしまっていた。

オモダカはオモダカ科オモダカ属の多年草で7月〜9月頃に白い小さな3弁花を咲かせる。雌雄同株で黄色い雄しべの雄花を上に、緑の雌花を下部につけるが雄花に比べて雌花は少ない。

左の写真は平成17年7月21日水田の際に咲いていたオモダカ。下の花の写真は左が雄花を上に、雌花が下についている雌雄同株。真ん中は黄色い雄しべの雄花、右は緑色の雌しべの雌花
枕草子にも「おもだかは名のをかしきなり、心あがりしたらんと思うに」の記述が見られ、
をもだかや下葉にまじる燕子花花ふみわけてあさる白鷺藤原定家
と古くから和歌にも詠まれて親しまれている。
面高の花 面高の雄花 面高の雌花
オモダカの漢字表記は「面高」。文字通り葉の形が人の顔に似て、葉が花より高い位置につくことから。
別名ハナクワイ(花慈姑)、クワイに比べて塊茎が小さく食用にならない為。古くはナマイ(奈末為または生藺)ともいわれ、ヤシコ(野茨菰)は季語にもなっている。
クワイの漢名は「慈姑」だが、これは「クワイの根茎は一年に12子を生じる。ちょうど慈母が子供に乳をやって育てているようなものである。すなわちクワイは慈しむ姑あるいは自愛溢るる姑というので慈姑の字をあてた」(和漢三才図会)という。

澤瀉はオモダカにあらず

「澤瀉」の漢字を当てる事があるが、これは「従来澤瀉をオモダカというのは誤りで澤瀉は匙オモダカの漢名で、オモダカの漢名は野茨菰」(牧野新日本植物図鑑)という。匙オモダカは同じオモダカ科でもサジオモダカ属で一つの花が雄しべと雌しべを持つ両性花をつけ、この塊茎は「沢瀉(たくしゃ)」として漢方薬に用いられている。

ハッキリ誤用と分かりながら、現在でもポピュラーなのはあじさいの紫陽花。でも紫陽花が何の花なのかは現在でも議論があり、ライラックではないかとの説もあるが定かではない。またシャガは射干の字を当てているが、中国で射干と言えばヒオウギのことで、これも誤用のようだ。

漢名でその花にぴったりのものもあるが、いたずらに難しい漢字を当てるのは真偽を別としても好ましいものではない。漢字の表意文字性を生かす事が植物の漢字表現をしていく最大の目的で、私はこれを大切にしていきたいと思う。
平成18年9月13日作成