自然観察指導員講習会参加記(06年9月22日〜24日)

富士山
9月22日から2泊3日の自然観察指導員講習会に参加しました。
 この講習会は日本自然保護協会が企業などと共催する、自然を大切にするボランティア指導員を養成する、実践的な講座で今回で384回目、御殿場で開催されました。 東芝が今回の共催企業で実習は東芝の森、座学と宿泊はYMCAの東山荘で行われ、参加は東芝社員30名と一般30名(当日不参加等があり実際は28名)の計58名でした。
24日の朝は快晴。東山荘の夕陽の丘の展望所からは一点の曇りも無い富士山が雄大な裾野を広げているのが眺望できました。

東芝の森は「法人の森林(もり)制度」(企業が育林管理などの費用を負担し、森林作りに参加する制度)に基づき昨年7月に誕生しました。森(国有林)の整備を行いながら林業体験や自然観察会などのイベントを開催し、自然とのふれあいの場を提供していく東芝の社会貢献の一環です。

自然観察指導員といっても資格ではなく、登録できるだけで自分で行動しなければ何もならないのですが、非常にいい勉強になりました。
とにかく行動することそして人間はそれぞれ千差万別の見方、感じ方をするものだということを改めて感じさせられました。

最初に東山荘の正面玄関から山並みの景色をスケッチさせられたのには正直当惑しました。でも上手下手はまったく関係なく、ただ見るだけでなくよく観る為のスケッチでした。絵にならないものは字で書いてもよく、よーく観ていると色々なものが見えてきたのには正直驚きました。

森での実習は20名くらいづつ3班に分かれ、足跡や糞から動物を特定したり、実際にいのししを観察したり、木の葉の匂いや、植生の違いを見たりしました。循環の仕組みを見るために1メートルくらいの穴を掘って実際に地層の変化を見たりで、体験が主の楽しいものでした。

夜の講義は2晩とも3時間の長丁場で、スケジュール表を見た時から眠くなってどう仕様も無いのではないかと思いました。しかしながら1日目の講師の勝山智男沼津高専教授も2日目の今井信五しろうま自然の会代表も、実践に裏打ちされた豊富な知識と人間の機微を知り尽くした巧みな話術で眠気を催させず、非常に実のある有益な講義でした。

ゲンノショウコ キバナノアキギリ
ゲンノショウコ(現の証拠)  06/9/24撮
フウロソウ科の多年草。花径は約1.5p。下痢などによく効くのが名の由来。東日本に白花、西日本に赤花が多い
キバナノアキギリ(黄花の秋桐)  06/9/24撮
シソ科の多年草。紫の花をつける桐の花に似ていて秋に咲くので秋桐。その秋桐の黄花種

最終日には受講者全員が5〜6名の単位に分かれて5分間の自然観察会が実施されました。何をしたらいいのか皆悩みのタネでしたが、先輩指導員の適切な助言があり、それぞれいい観察会が主催できたようです。ちなみに私達の班には若い女性2名がいましたが、ひとりはヨガを、もうひとりはアロマセラピーを題材に面白い観察会を主催しました。

22時頃からの夜の交流会は自由参加でしたが殆ど全員参加で色々な差し入れもあり、盛り上がりました。私もこの機会を利用して講師の今井信五さんや勝山先生に色々お聞きしました。そしてはじめに行動ありきを再認識させられ、とにかく実践してみようという気持ちになりました。

2泊3日の講習会日程はハードの筈でしたが、運営側の皆さんの笑顔と努力でハードさを少しも感じさせない有意義な3日間でした。
自然観察会は動植物の名前を単に覚える事では無く、名も知らない雑草でも今ある自然を大切に、復元可能な自然はできる限り元に戻し、より豊かな自然を次世代に伝えていく。そして身近な場所で、身近な事から行動することに本当の意味がある事を気付かされました。
より多くの人がこの講習会に参加し、より多くの自然がより大切にされる社会になる事を真に願いたいと思います。

平成18年10月5日作成