2015年9月10日の台風18号の影響は記録的な大雨をもたらし、鬼怒川が決壊して常総市が洪水に飲み込まれたが、荒川流域はさほどでもなかった。
20日が彼岸の入りで青葉園には一日遅れの21日にお参りした。その途中の自転車道迂回路で奇妙な光景に遭遇した。
ゴルフ場沿いから横堤沿いに昭和田んぼ地帯に入ると荒川運動公園との境のヨシの群生にクモの巣が白く盛り上がっていた。今まで見た
事が無い現象だった。ヨシを覆った巣の内外を無数のクモが忙しく動き回っている。たくさんのクモが活発に動いて気持ちが悪いくらいだった。
ヨシの上のクモの巣と住人のクモ達 | 無数のクモが忙しく動いています |
調べてみるとクモは肉食なので幼虫以外は集団ではほとんど行動しないとあった。それなら何故?大スクープかと思った。
確かめに翌22日の6時半ごろ現場に行ってみた。早朝だったので動きこそ少なかったがまだそのままだった。反対側からもよく見ると規模
が非常に大きい。
近くにいた地元の人に聞くと先日の大雨で流れ着いたワラクズの中にたくさんいるという。足を踏み入れてみるとそれこそ蜘蛛の子を散
らすように出てきた。
大雨で左側の田んぼ地帯から流されてきてヨシの根元に引っ掛かった大量のワラクズ。この中に多くのクモがいた。
24日から長崎に行って留守したので、30日に再度行ってみた。ヨシなどにかけた巣は古くなり、クモの姿は見られなかった。でも、ヨシの
根元を覆ったワラクズに勢いよく乗るとバラバラと多くのクモが出てきて慌ただしく消えた。
図書館に行ってクモの本を借りてきたが、クモの形からコモリグモの一種かとも思うが、確信は持てずワラクズと一緒に流れ着いたのが
どういう現象なのかもまったくわからない。
ヨシに張った巣 | コセンダングサを覆い尽した巣 |
ワラクズから飛び出したクモ | 自転車道に出てきたクモ |
日本蜘蛛学会にお尋ねしたところ早速回答を頂いた。「おそらくキクヅキコモリ
グモだと思います。雨で地面が水浸しになったとかでしょうか?でしたらそれを避けて、高いところに逃げてこうなったのかもしれません。」との事で
そう珍しい現象でもなかったようでチョッピリ残念。
キクヅキコモリグモ(菊月子守蜘蛛)
水田や湿地などに生息するコモリグモで、全体的に明るい茶褐色。頭胸部中心の腹部寄りに黒い縦線があり、腹部にも特有の模様が
ある。イネの害虫の総合防除の一員としてキクヅキコモリグモLycosa pseudoannulataが使われ、益虫的存在。
何より名前がいい。菊月は旧暦9月の異称で特にこの月だけに発生するのではないが多く見られる事からで、子守蜘蛛は幼虫をお腹に乗せて
育てる事からという。
平成27年10月20日作成