大半は水が引いていたが、一部低い所は冠水したままだった
9月8日は晴れ間がのぞく好天で荒川堤防内はかなりいつもの景色に戻っていた。
河川敷に下る荒川自転車道は下まで水がひいていた。でも、ゴルフ場はまだ冠水したままで、一面の水のアチコチに樹木が生えていてまるでマングローブの世界だった。
水のひいたリトルリーグの野球練習場には父兄たちが来て被害を調べ修復を始めていた。ゴルフ場の防護ネットには高い所までゴミが漂着して、ネット自体も傾いたり破れたりしている所があり氾濫水のもの凄さを感じさせられた。
野球場の先の小川が氾濫し大きく道をふさいでいた。普段そう低くなっている所でもないし流れも速くはなさそうなので、泥水の中に入った。ところが次第に深くなり車輪が半分くらい沈むと急にペタルが重くなり進まなくなった。これ以上深くなったら立ち往生しかねないとUターン。水の抵抗の大きさを実感した。
冠水したままのゴルフ場 | 車止めの前の小川の氾濫 | 橋が水没し渦巻く濁流 |
堤防近くの漂着物は脱穀後の麦わらが大半
堤防の下は河川敷でも比較的高い所なのでどうやら横提下まで進めた。でもここにはたくさんの漂着物の堆積があり、近くに寄るともう異臭が漂っていた。乗り入れると積もっている所ほど多くの水を含んでいてハンドルを取られそうになりナカナカ進まなかった。「漂流物は燃えないし、片付けるのが大変なんだ」という昨日小耳に挟んだ言葉が頭をよぎった。日が経つにつれて堆肥化が進み匂いも一層き強くなるのだろう。
漂着物の大半は脱穀と同時に麦わらを短く裁断したもので、普段なら燃やしたりそのまま肥料にする筈の物なのに一ヶ所にこれだけ大量に集まると始末に悪い。
横提下の農道は漂着物がアチコチ道を塞いでいたが、どうにかゴルフ場脇の自転車道に出られた。手前の横提が切れた所のヨシの林は総てなぎ倒され、水流の激しさを感じさせた。
羽根倉橋方面の自転車道を見てビックリ。4輪車止めの先の竹やぶとゴルフ場のネットとの間を濁流に運ばれてきた大量の小枝などが道を塞いでいた。上流から流れてきた小枝や色々なゴミがこの狭くなった所につかえ、集積されたのだろう。
あの野球場側の小川の氾濫を乗り越えてきたらしい剛の者の姿が遠くに垣間見られたが、この堆積物を見て躊躇無く引き返していった。
漂流物の大半はカットした麦わら | 膨大な量の小枝やゴミの流着物 |
様々な流着物がネットに絡みつく | 倒壊したネットの向こうはゴルフ場 |
反対側の治水橋方面に向うと、ゴルフ場との境のネットには色々な漂流物が絡み付いていた。そしてひどい所はネットが薙ぎ倒され、向こう側の水没したフェアウェイが大きく見渡せた。
大きくゴルフ場側にカーブしながら下りきった所の橋は完全に水没し濁流が渦を巻いていた。ゴルフ場内の橋も冠水し多量の水が逆巻いていたので、さすがの私も渡る気は起こさず引き返した。途中で交差している農道は濁流に姿を一変していた。
昭和の水田地帯は未だ広大な土色の水の砂漠
堤防上に出て改めて昭和の水田地帯を見回すと農道によっては車輪の跡が見える所があり、降り口を探した。農道に出て、堆積物を乗り越え健保運動場側の自転車道の延長線道にでると、汚泥との戦いが待っていた。少し水の引いたところは2〜3センチも汚泥が積もっていて油断すると滑りそうで慎重に自転車を進めた。そしてやっかいなのは途中の堆積物だった。通過すると泥除けにそれらがつまり、今度はそこに汚泥も詰まって取り除くのは大変だった。
ようやく1000メートルの水田横断自転車レーン道に出た。ここは所々冠水していていたが、大半は汚泥が堆積して先客のタイヤ跡がハッキリ分かった。それを頼りに行けると所まで行こうと進んだ。他には高いものは何も無い水田地帯のど真中に3メートル近い高さの標識があった。なんとそのてっぺんの表示板の下に漂流物がたくさん絡み付いていた。そこまで水がきたという証だ。ビックリして思わず一面土色の水に覆われた広い水田地帯を見回してしまった。気の遠くなるような量の氾濫水が一帯を支配していたのだ。
こんな高い所まで氾濫水が来ていたなど今の状態では信じられませんが
羽根倉橋側の横提付近はまだ水没していて近寄れず、戻って水の少なそうな農道を堤防方面に向った。途中2面ほど刈り入れの終わっていない稲田があったが、至急に刈り取らないと腐ってしまうのではと危惧した。堤防の内側の刈り入れは8月下旬に殆ど終わって、堤防の外側より2〜3週間早い。その理由を今度の事で納得した。幸いにも冠水した稲は1割にも満たなかったのではないかと思う。
色彩のある堤防外側の三条町方面の水田の風景に感動
土色一色の昭和の水田地帯 | 色彩のある三条町方面の水田地帯 |
靴は言うに及ばず自転車もズボンも泥だらけになって堤防上に戻った。
そして外側の三条町方面の稲田の景色を見たときには心からホッとした。色彩のある世界が非常に新鮮でまぶしく活き活きと感じられた。一面の汚泥と泥水の世界はやはり異常な水の砂漠だった。
平成19年9月13日作成