<ハンノキ(榛の木)>木本

カバノキ科ハンノキ属

学名(属名+種小名)Alnus japonica

属名Alnusはケルト語のal(近く)+lan(海岸)が語源ともいう。種小名のjaponicaは日本の意味。
ハンノキ 榛の木
撮影:左は2010年4月25日、右は2013年1月19日いづれも田島ケ原サクラソウ自生地にて
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互生し質はやや硬く、縁は不揃いの浅い鋸歯 根・茎 根に根粒菌を持ち、樹皮は紫褐色
雄花序は長さ4〜7p。雌花序は約4o 果 実 果穂は約1.5pで春まで残る。堅果は約4o
高さ 高さ20mになる落葉高木 花 期 1月〜2月
生育地 低湿地や湿原の地下水位の高い所 分 布 日本全土
別 名 ハリノキ 花言葉 忍耐、剛勇、荘厳
渡 来 在来種 近似種ヤシャブシ

和   名 開墾地に植え護岸や稲掛に用いたことから古語のハリ(墾)から「墾(ハリ)の木」と呼ばれそれが「榛(ハリ)の木」に変化したという。そしてr音 はn音に変化しやすいのでハリノキがハンノキになったと言われる。
伊香保ろの岨(そい)の榛原(はりはら)わが衣に着きよらしもよ一重(ひたへ)と思へば  万葉集巻第十四3435
と詠われているが、 万葉の昔からハンノキの果穂は黒色の染料とされていた。そしてこの時代に伊香保ろと呼 ばれていた榛名山は榛の木が多くあったことから榛の山が榛名山になったのではとも推測される。
雑   記 ハンノキはカバノキ科の落葉高木で水中にも生えるのは幹の皮目から空気を地下の根に送る機構があるからで、根には放線菌が共生しており、根粒を 形成するので貧栄養地でも生育できる。
1991年に埼玉県のシンボルとして県の蝶に指定されたミドリシジミの食樹。
さいたま市の荒川河川敷には多く生育していて水につかっている所もある。田島ケ原サクラソウ自生地では早春2月初めころに一番で花を咲かせるが、 ゆすると黄色い花粉が飛ぶくらいでサラミ状の雄花序にはほとんど変化が見られない。 まさに一茶の句通りの花だ。
はんの木のそれでも花のつもりかな  一茶
食草・食樹とは、チョウが幼虫の時にエサとする葉の種類

2013年2月11日作成

観察ノート(下記4枚は花期の雄花序の一部を拡大表示してあります)

ハンノキ花 ハンノキ花
鱗片の内側には2個の小苞を持った2〜3個の花がつく。雄花の萼は4裂し、雄しべは4個(新牧野図鑑)。黄色が雄しべ 2010年2月4日
ハンノキ花 ハンノキ花
赤色が鱗片(苞)で褐色は花粉を飛ばした雄しべ? 2011年2月16日 右の雄花穂は完全に花粉を飛ばし終わった後でしょう 2012年2月13日