<イチビ(いちび)>

アオイ科イチビ属

学名(属名+種小名)Abutilon theophrasti

属名のAbutilonはa(否定)+bous(牡牛)+tilos(下痢)で、家畜の下痢止めに効あるという意味。
種小名のtheophrastiは古代ギリシャの植物学の 祖テオフラストスに因む。
イチビ イチビ
撮影:左は2015年8月14日、右は2015年8月13日いずれもさいたま市の荒川河川敷にて
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互生し、長い柄があり心臓形で長さ約10pになる 根・茎 茎は直立し全体に白い軟毛がある
萼は5裂し先が尖り毛を散生する。花は径約15oで花弁5 果 実 刮ハは15内外の分果が円形につく
高さ 150〜200p 花 期 7月〜9月
生育地 畑や空地、河川敷などに野生化 分 布 日本全土
別 名 キリアサ、クサギリ、ゴサイバ 花言葉 独立心の強い(栽培種が野生化)
渡 来江戸時代に移入され、近年別途渡来している 近似種 ゼニバアオイ

和   名 いち早く燃えるものであるためイチビ(痛火)。幹から火口をつくる事からウチビ(打火)。この植物を示す朝鮮語O-cho-kuiからの転訛。イトキビ(糸黍)の約転。 他にも諸説ある。(花と樹の事典)という。
属名の和名はイチビ属だが、原語名のアブチロン属というと、膨らんだ五稜形の紅い萼の下に黄色の花が付くウキツリボク、 別名チロリアンランプが含まれるというのを初めて知った。
アブチロン属は熱帯から亜熱帯に100種程度が分布し、総称してショウジョウカ(猩猩花)と呼ばれる ことがあるという。
雑   記 さいたま築堤で土盛りされた堤防にはセイバンモロコシが高く伸び出している所が圧倒的だが、そんな 中で、花径1.5pくらいの黄色い花を見つけた。イチビだったが、翌日に行くと前日の花が無い。よく見ると違う株で2輪咲いていた。アオイ科の花は一日でしぼむ花が 多いが、イチビも一日花だ。
繊維を採るために江戸時代以前から輸入栽培され、アサ、ミツマタなどと同じ靭皮植物だったが、現在では栽培されず野生化している。 戦後アメリカから家畜の飼料用のトウモロコシに交じって渡来したものもあって、インド原産のイチビは東回りと西回りの両方で移入している。今多く見られるのは後者 のルートのもので刮ハは熟すと黒色になる。いずれにしても逸出植物の例にもれず繁殖力旺盛なので、要注意外来生物だ。

2015年8月15日作成

観察ノート

イチビ草姿 イチビの花
別名のキリアサは葉が大きく、桐の葉に似ているため 雄しべは多数で、白く見える花柱も15内外という
イチビの花と刮ハ草姿 熟した刮ハにブチヒゲカメムシ
青い若い刮ハは熟すと黒くなるが、熟して口を開けた果実にはブチヒゲカメムシが種子を狙って集まる