<カラスビシャク(烏柄杓)>

サトイモ科ハンゲ属

学名(属名+種小名)Pinellia ternata

属名のPinelliaは16世紀イタリアの植物学者Pinelliに因む。種小名のternataは3出の意で、葉が3小葉からなるから
カラスビシャク 烏柄杓
撮影:07年7月13日 桜区道場4丁目の農道脇
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根茎から長い柄を出し3小葉をつける 根・茎 径1p程の球茎をつけ1〜2枚の葉を伸ばす
仏炎包の中に肉穂花序をつける 果 実 緑色の液果をつける
高さ 20〜40p 花 期 5月〜7月
生育地 畑地に多い多年草 分 布 北海道〜沖縄
別 名 ハンゲ(半夏) 花言葉 ガキ大将(畑の強害草)
渡 来 史前帰化植物 近似種オオハンゲ、マムシグサ、

和   名 肉穂花序を包むサヤみたいなものを仏像の光背の形に見立てて仏炎包という。この仏炎包を小さな柄杓(ヒシャク)に例えて、烏 が使うくらいの大きさなので烏柄杓としたのが名の由来。
別名のハンゲは球茎を咳止め、吐き気止めなどの薬用に用いた漢方の呼 び名が半夏だった事による。
雑   記 夏至から数えて11日目にあたる半夏生は雑節で一つだけ七十二候と重なっている。文字通り半夏(カラスビシャク)の生ずる頃で、 昔はこの日までに田植えを終える目安としたようだが、現代では通用しない。現代ではドクダミ科のハンゲショウの名の由来の一つと されて、カラスビシャクはすっかり忘れられて主客転倒している。
仏炎包の上に伸びている花序の付属体が長いのがネックで、3小葉をつけた葉をつい忘れがちになってしまう。そして始末が悪いの はこの葉が根茎から直接伸びているのでまるで烏柄杓本体とは 別物のように見えることだ。

07年7月13日作成・12年7月1日改訂

観察ノート

カラスビシャク カラスビシャクと葉
カラスビシャクの仏炎苞、上に伸びるのは付属体 3小葉は比較的大きくすべて根生する
カラスビシャクの花 カラスビシャクの子房
仏炎苞の中は上に花糸の無い淡黄色の葯が固まって付く 雄しべの下は子房がむき出しになった雌しべ