<ミゾソバ(溝蕎麦)>

タデ科イヌタデ属

学名(属名+種小名)Persicaria thunbergii(Polygonum thunbergii)

属名のPersicariaは桃に似ているという意味でこの植物の葉が桃の葉に似ていることから。
種小名のthunbergiiは スエーデン植物学者で日本植物誌をはじめて発表したC.P.Thunberg(ツュンベリ−)の意味。
ミゾソバ 溝蕎麦
撮影:左は10年10月27日、右は08年10月2日いずれもさいたま市西区の休耕田にて
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互生し、ホコ形で先は尖り基部は張り出す 根・茎茎には下向きの刺があり下部は地を這う
地中に閉鎖花をつける事がある。花被は5裂し色は変化に富み上部が紅紫色 果 実痩果は長さ3oの卵球形で花被に包まれる。飢饉の時には蕎麦掻のようにして食用にした
高さ30〜100p 花 期8月〜10月
生育地水田などの水辺に生える1年草 分 布日本全土
別 名ウシノヒタイ 花言葉気の多い(花の色が変化に富む)
渡 来在来種 近似種ママコノシリヌグイイシミカワ

和   名 ミゾソバ(溝蕎麦)は文字通りソバに似た実をつけ、水辺に生える事から。実が小さくて普通は食用にならない。この意味からは食用に ならない役立たずでイヌソバと命名されてもよかったが、救荒植物だった事からイヌタデやイヌゴマと同列にはならなかったという。
別名のウシノヒタイ(牛の額)は基部が左右に張り出したホコ形の葉の形が牛の額(顔)に似る事から。
雑   記 広義のタデ属(Polygonum)は約300種を含んでいたが、APG分類ではイヌタデ属(Persicaria属)に分類された。
群生する事が多いが、 白っぽい場合や赤が強い場合など色の変化が多い。 托葉は鞘状で時に上部の縁が広がって緑色の葉のようになる事がある
種小名は命名者のSieb.et Zucc.(シーボルトとツッカ リーニ)によるC.P.Thunberg(ツュンベリ−)への献名。
ツュンべりーはシーボルトより約半世紀前に来日したスエーデンの医師で植物学者。商館長の江戸参府にも随行し蘭学者達とも交 流している。1784年に自身が日本で集めた植物などを初めてリンネ式に分類整理した日本植物誌を発表した。

2012年8月19日作成・2016年10月28日改訂

観察ノート

ミゾソバの群生 ミゾソバの花
2006年10月15日土屋堤防下の群生。築堤工事により消滅 花被片(萼)は約5〜6o、雄しべは8で花柱は3