<ナンバンギセル(南蛮煙管)>

ハマウツボ科ナンバンギセル属

学名(属名+種小名)Aeginetia indica

属名のAeginetiaは7世紀のギリシャの医者P.Aeginetaからとも、花の形が似るギリシャ語のaiganee(狩猟用の槍)からともいわれる。
種小名のindicaはインドの意
ナンバンギセル 南蛮煙管
撮影:2013年10月8日 田島ケ原サクラソウ自生地にて
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狭三角形の退化した鱗片葉が数個互生 根・茎 茎はほとんど地中で長く伸びるのは花茎
筒状の花冠は3〜3.5pで、柱頭は大きく黄色 果 実 刮ハは萼に包まれたまま熟す。種子は微小
高さ 茎に見える花柄は約20〜30p 花 期 9月〜10月
生育地 ススキやミョウガ、サトウキビの根に寄生 分 布 日本全土
別 名 オモイグサ(思ひ草) 花言葉 物思い
渡 来万葉集にも登場する在来種 近似種 ハマウツボヤセウツボ

和   名 南蛮煙管はマドロスパイプのことで花の形から連想したもの。桃山時代にタバコと共に喫煙具が渡来した以来のようだ。 別名のオモイグサは横向きに咲く花の様子から。
万葉集には思ひ草の名で下記の一首だけ詠まれている。
道の辺の尾花が下の思ひ草今さらさらに何をか思はむ
                               作者不詳(巻10-2270)
雑   記 ハマウツボ科の植物はすべて無葉緑の寄生植物で、花は2唇形で横を向いて咲く。ナンバンギセルはススキやミョウガ、サトウキビ の根などに寄生する。「もともと熱帯性のこの草は、異常発生して作物を荒らすこともある。フィリピン、台湾、小笠原などで、 サトウキビ畑にはびこって全滅させ、糖業に大打撃を与えた事もある。」(花と樹の事典)
埼玉カテゴリーでは絶滅危惧2類(VU)だが確認された個体数は10000でやや多いという。ただしさいたま市近辺の荒川河川敷ではほとんど見られない。
茎のように見えるのは地中の短い茎の葉腋から伸び出した花茎という。下側は殆んど基部まで裂ける大きな黄褐色の萼はそのまま子房を包み、 中に埃のような微小な種子を入れる。

2013年10月20日作成・2015年9月19日改訂

ナンバンギセル ナンバンギセル枯れ姿
まさに思い草そのもののようなナンバンギセル 子房を包んだ萼だけが残る枯れ姿
花冠の中でも横向きの柱頭 ナンバンギセルの柱頭
大きな柱頭は花冠の中でも下向きについています 花冠が枯れかけて露出した黄色い柱頭