4月23日に小石川植物園に行った。
入口から正面の坂を上って行くと右手にフジの花ガ歓迎している。上りきった左手の奥には若葉の爽やかな桜林があり、右手には白や藤色をはじめとする色取り取りのフジが最高の見ごろだった。
色々な種類のフジがちょうど見ごろを迎えています。両方の藤棚の下の白い花もオオアマナです |
奥に進むと大きなハンカチノキが、名前の通りの白いハンカチを風に揺らせている。中国原産のこの樹はダヴィディア属1属1種の珍しい植物。花には花弁も萼も無く雄しべと雌しべだけで、それを白い苞が守っている。
その奥の方には樹全体が黄緑がかった白色に見えるトキワマンサク(常盤満作)がある。日本では自生がごく限られているというマンサク科の常緑小高木だ。白い黄緑色を帯びた細長い花弁が4枚の花は一箇所に6〜8個集まって付いている。それらの花ガ葉などはまったく見えないくらい満艦飾に樹を覆い尽くしている。
本当に白いハンカチに見えます | |
よおく見ると細い花弁が付いた花が集まって付いています |
一方、入口から左に入ると右手のなだらかな丘状の草はらはオオアマナの花に埋め尽くされ真っ白に輝いている。オオアマナはここだけでなく園内のいたるところで花をつけ、上の落葉樹林帯にも大きな群落を作っていた。
白い群落は全てこのオオアマナと言っていいくらいだ。明治後半に入ってきた外来種のようだが、さすがコスモポリタンで少しも悪びれたところが無い。在来種のアマナのように太陽が出ないと開かないとか花茎が軟らかで花が下を向き勝ちなどのナイーブさはまったく無く、明るくすっくと上向きに花をつけている。
そして、年々分布を広げているセリバヒエンソウが今年は園内のいたるところに繁茂していた。かなり繁殖力が強いようだ。4年くらい前に初めて見つけた時は、下の日本庭園に行く途中のチョットした野原のようなところにしかなかった気がするが、少しぐらい日陰でも平気で花をつけていた。
前回、3月7日にはかなり広範囲で見られたコゴメイヌノフグリは主に梅林までの左右の野原を中心に見られたが、他の草丈が高くなってきた事もあり前回ほどは目立たなかった。この種は午前中には競って花開くが、午後になると萎み始め16時近くには全てが花を閉じていた。
小石川植物園は普通の小米犬のフグリ | セリバヒエンソウとキュウリグサ | ヤマブキソウは山吹と違って4弁花 |
右は横からチャボタイゲキを撮った写真です(08年4月23日)。茎は途中から多く枝分かれし、枝先に杯状花序をつけます。
チャボタイゲキは漢字では矮鶏大戟。矮鶏(チャボ)はきれいな羽根を持つ小型の鶏。大戟はトウダイグサ科の生薬の漢名です。
オオアマナと同じ所で早くから若草色のきれいな葉を付けて群生していた若葉は去年から気になっていた。今回も花をつけるでもなし、そのくせ緑の葉は若々しく、背丈は2〜30pくらいしかない。その包葉の様子からトウダイグサ科の植物らしいとは分かったが種は同定できず、帰宅しても奥歯に物が挟まったような感じでいた。
芽生えた若葉のチャボタイゲキ 07年12月19日 | 若い葉や茎は柔らかな赤色を帯びる 08年1月22日 |
下向きや横向きですが杯状花序のよう 08年2月26日 | 一人だけ大きくて赤い固体がありました 08年3月7日 |
ふと思いついて「日本の帰化植物」を繰って見るとあった。まさにトウダイグサ科のチャボタイゲキだった。長崎県に帰化しているのを発見された地中海沿岸原産の1〜2年草だった。
チャボタイゲキは漢字では矮鶏大戟。矮鶏は若い茎や葉は赤色を帯びることが多く小さくて色のきれいなチャボに例えたのではと思われる。大戟とはタカトウダイの根からつくられる生薬の漢方名という。
平成20年5月3日作成